農業者は原則、国民年金に加入していますが、その割増分として農業者年金制度があります。全国で多くの農業者がこの制度に加入して、年金を受給しています。
農業者にとって国民年金だけでは、老後の生活に十分な資金とはいえず、老後の生活費は自分で準備する必要があるのが現実です。
会社員であれば、基礎年金である国民年金の上乗せ年金として、厚生年金や共済年金を受け取っていますが、農業者にも、同じような考え方で、農業者年金があります。
農業者年金
サラリーマンの厚生年金のように、しっかり積み立てて、サポートをしてもらいます。安心で豊かな老後のための年金です。老後の備えとしては、国民年金にプラスされていますが、農業者年金にも入るのが基本になっています。
総務省統計局のデータによれば、夫婦2人の高齢無職世帯の老後生活では、現金支出で年額272万円となっており、世帯主が65歳以上の夫婦2人の高齢農家世帯の家計費は、現金支出で最低の金額でも月額約23万円が必要となっています。
1.国民年金
国民年金の支給額は、おおよそ年額158万円です。農業者が加入している国民年金の支給額は、40年加入の場合で月額約6万6千円、夫婦あわせて月額、約13万2千円となります。
このように国民年金だけでの生活は十分とはいえないために、老後の生活費としては、自分で生活資金を準備する必要がでてきます。
会社員であれば、基礎年金としての国民年金の上乗せの年金として、厚生年金や共済年金を受け取っています。厚生年金のモデルケースとしては、夫婦2人で年額約280万円、月額約23万円程度あります。
農業者も、農業者年金に加入して安心で豊かな老後を送ることが必要になってきます。
2.農業者年金の支給額の試算
農業者年金に加入すれば次のとおりの試算が可能になります。
(1)保険料月額2万円の場合
(加入年齢)20歳(納付期間)40年(男性)91万円(女性)79万円
(加入年齢)30歳(納付期間)30年(男性)60万円(女性)52万円
(加入年齢)40歳(納付期間)20年(男性)35万円(女性)31万円
(加入年齢)50歳(納付期間)10年(男性)16万円(女性)14万円
(2)保険料月額3万円の場合
(加入年齢)20歳(納付期間)40年(男性)136万円(女性)118万円
(加入年齢)30歳(納付期間)30年(男性)90万円(女性)78万円
(加入年齢)40歳(納付期間)20年(男性)53万円(女性)46万円
(加入年齢)50歳(納付期間)10年(男性)23万円(女性)20万円
農業者年金の特徴
農業に従事されている方であれば、誰でも加入することができます。60歳未満の国民年金第1号被保険者であって、年間にして60日以上農業に従事している方は誰でも加入できます。配偶者や後継者など家族農業従事者の人も加入が可能になっています。
少子高齢時代に強い年金と言えます。年金資産は、安全かつ効率的に運用されています。
自分で積み立てた保険料とその運用益、付利によって、将来受け取る年金額が決まる積立方式、確定拠出型の年金となります。
確定拠出型とは、あらかじめ決まった掛金を拠出することになっていることから確定拠出と呼ばれています。
自分が必要な年金額の目標に向けて、保険料を自分で自由に決められて、月額2万〜6万7千円程度、経営の状況や老後の設計に応じて、いつでも見直しできます。
運用の結果得られる年金の原資が、積み立てられた保険料の総額を必ずしも下回らないという保証はありませんが、安全性を重視した運用の方法や、65歳の年金の裁定時に運用収入の累計額ができるだけマイナスとならないようにする準備金の仕組みなどを導入しています。
終身年金となっていて、80歳までの保証が付いています。
農業者老齢年金は、原則として、65歳から生涯受け取ることができます。
たとえ、80歳の手前に亡くなられた場合でも、80歳までに受け取れるはずの農業者老齢年金の額の現在の価値に相当する額を、遺族に死亡一時金として支給されます。
税制面で、優遇措置があります。
支払らわれた保険料は、全額、1人当たり最高年額80万4千円が社会保険料控除の対象となって、所得税や住民税が節税となります。支払った保険料の15%〜30%程度が節税されます。
保険料を農業者年金基金が運用して得られる収益である運用益は非課税になっています。
将来的に受け取る農業者年金には、公的年金等控除が適用、65歳以上の方は公的年金などの合計額が120万円までは非課税とされています。このように、税制上の優遇措置があります。
認定農業者などの一定の要件を満たす農業者には、保険料の国庫補助があります。
認定農業者で青色申告をしている人やその方と家族経営の協定を結んだ配偶者や後継者の方など、一定の要件を満たす人には、保険料の国庫補助として、月額最高1万円、通算すると最大で216万円があります。
この国庫補助額に見合う年金は、農地などの経営継承をすれば、原則として65歳から特例付加年金として受給できます。
農用地などの経営の継承の時期についての年齢制限はなくて、本人の体力などに応じて受給の時期を決められます。
農地転用許可と農地購入・農地売却における実務上の重要ポイント
農地転用に関する手続きは、「農地購入」や「農地売却」「農地売買」と密接に関係しており、単に売買契約を締結すれば完了するものではありません。特に農地法第5条許可が必要なケースでは、売主・買主双方が許可取得を前提とした条件付き契約(停止条件付契約)を結ぶのが一般的です。この点を理解せずに契約を進めてしまうと、許可が下りなかった場合にトラブルへ発展するおそれがあります。
また、農地転用の許可基準は全国一律ではなく、農地の区分(農用地区域、甲種農地、第1種農地など)や立地条件によって大きく異なります。そのため、「他の地域でできたから今回も大丈夫」と考えるのは危険です。農地購入を検討する段階で、必ず事前に行政や専門家へ確認を行うことが重要です。
さらに、農地売却を検討する際には、「転用できる農地かどうか」が価格に大きく影響します。転用可能性が低い農地は、買い手が限定されるため、売却が長期化するケースも少なくありません。農地売買においては、単なる価格交渉だけでなく、許可の可否やスケジュール管理も含めた総合的な判断が求められます。
行政書士としての実務では、「事前調査不足」が最も多い失敗要因です。農地転用・農地購入・農地売却のいずれにおいても、早い段階で専門家に相談し、許可見込みや必要書類を整理しておくことで、スムーズかつ安全に手続きを進めることができます。
- Q農地購入をすれば自由に建物を建てられますか?
- A
いいえ、農地購入をしただけでは建物は建てられません。農地転用許可(農地法第4条または第5条)が必要となります。許可が下りない農地もあるため、購入前の確認が重要です。
- Q農地売却は誰にでもできますか?
- A
農地売却は原則として農業従事者など一定の要件を満たす相手に限られます。ただし、農地転用を伴う農地売買であれば、一般の個人や法人でも取得可能な場合があります。
- Q農地転用の許可はどのくらい時間がかかりますか?
- A
一般的には1か月~2か月程度ですが、案件の内容や地域によってはそれ以上かかることもあります。農地売買のスケジュールには余裕を持たせる必要があります。
- Q農地購入後に転用できないことが判明した場合はどうなりますか?
- A
条件付き契約を結んでいない場合、原則として契約は有効となり、トラブルになる可能性があります。そのため、農地購入時には「許可取得を条件とする契約」が重要です。
- Q農地売買や農地転用は自分で手続きできますか?
- A
法律上は可能ですが、実務では書類作成や行政との調整が複雑です。特に農地転用は許可基準の判断が難しいため、行政書士など専門家に依頼することでリスクを大幅に減らせます。


