耕作放棄地であっても、地目や現況が農地であれば、賃貸の場合であっても、売買の場合であっても、農地法に従わなければなりません。宅地の取引とは異なりますので注意が必要です。
農地バンク制度
1.農地バンク制度とは
農地バンク制度とは、市内の市街化調整区域内にある農地や生産緑地で貸付けを希望する農地の情報を集約して、農業の経営規模を拡大したい農家、法人や新規就農者などに農地の情報を提供して、農地の貸借を促進する制度のことです。
2.農地バンク制度の概要
自分で耕作ができなくなったり、他人に貸したいと考えている農地を、農地バンクに登録します。
農地を追加で借りて、経営規模の拡大を検討している農業者や、新規に就農したいと考えている人を、一定の要件で、農地バンクに借受の希望者として登録します。
農地バンクに登録した借受の希望者に対して、登録した農地の情報を提供して、期間を定めて、借受の希望を募集します。
借受の希望者からの申込みによって、農地所有者に、借受の希望者を紹介します。農地の所有者と借受の希望者との間で、貸借条件などを交渉します。
市街化調整区域内の農地は、市町村が農業経営基盤強化促進法に基づいて、農地の利用権設定をして、農地の売買ではなく、貸借関係が成立します。
生産緑地は、都市農地の貸借の円滑化に関する法律に基づいて、借受人の事業計画について市町村が認定したあとに、農地所有者と賃貸借、または使用貸借契約を締結します。
3.登録が可能な農地
市街化調整区域内の農地や生産緑地で登記地目が田、または畑の農地になります。
次のような農地は登録することができません。
・所有者以外の第三者が利用する権利を持っている農地。
・共有者がいる場合、登録することに同意を得ていない農地。
・抵当権などが設定されて、もしくは権利の設定、移転についての仮登記が
なされている農地。
・市長村長が登録することに不適切と認める農地。
4.借り手
借受の希望者として登録できるのは次の人で、要件を満たさなければなりません。
農業経営をしたいという方が対象になります。農業経営以外の家庭菜園や趣味の野菜づくりなどの場合は、対象となりません。
・認定農業者および認定新規就農者
・新規就農者
・農業生産法人
・一般法人
・営利目的で農業経営を行う法人。
耕作放棄地の売買
原則として、耕作放棄地であっても、農地であれば、売買する場合には、当該の農地を管轄する農業委員会で、農地法に基づく許可をもらわなければなりません。
用途が農地のままで、農業従事者に売却する場合は、農地法第3条申請となります。
所有者が農地以外に地目を農地転用して、売買する場合は、第4条申請となり、購入者が農地以外に地目と所有権をいっしょに変更する場合は、第5条申請となります。
第4条申請、第5条申請の場合では、農地転用する目的が農業委員会などで許可されなければなりません。
詳しくは、行政書士や不動産の専門家に相談をお願いします。