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農業の販売ルートとは?農作物を消費者に届ける方法

農地コラム

農産物の販売ルート

野菜や果物などの農産物は、基本的に生産者である農家から農協などの出荷団体を経て、卸売市場、そしてスーパー、八百屋など小売業者の経路を経由して、消費者に届けられます。

野菜類の約76%、果物類の約47%が、卸売市場を経由して流通しています。

卸売市場を介さずに、生産者や出荷団体から直接、スーパーマーケットや生活協同組合へ出荷するルートもあります。

ネット販売を利用して宅配便などで、生産者から直接消費者に届けるルートも増加傾向にあります。

輸入農産物は、商社などが海外の生産者と生産契約をして、出荷業者を通じて輸入して、卸売市場や、スーパーマーケットなどの小売業者へ卸します。

1.直売所や農産物直売店

農家が運営する直売所や、地域の農産物直売店での販売です。農家が生産した農産物を直接消費者に販売します。

2.卸売市場

卸売市場では、農家が生産した農産物を販売業者に卸します。販売業者は、卸売市場で買い付けた農産物を小売店やレストラン、食品加工業者などに販売します。

3.スーパーマーケットや小売店

スーパーマーケットや小売店では、卸売市場や直売所から仕入れた農産物を販売します。

4.ネット販売

農家が運営するオンラインストアや、ネットショップでの販売も増加傾向にあります。消費者は、自宅からインターネットを通じて注文して、商品が自宅に届きます。

農協や市場に出荷する「市場流通」

市場流通とは、農産物が生産者から農協や市場を通じて、最終的に消費者に届くまでの流通プロセスのことです。

生産者が生産した農産物を農協や市場に出荷して、そこで販売業者が仕入れます。販売業者は、自社の販売ルートを通じて、小売店やスーパーマーケット、食品加工業者などに販売して、最終的に消費者に届くという流れになります。

価格や規格を自由にできる「直売」

直売とは、農家が生産した農産物を直接的に消費者に販売する販売形態のことです。農家が自ら販売を行うことで、農産物の価格や規格を自由に決めることができます。

野菜などの直売では、生産者が自ら運営する直売所や、地域のイベントやマーケットなどでの販売が行われます。

消費者は、農家が直接販売することで、新鮮で安全な農産物を手頃な価格で購入することができます。

農産物の直売では、農家と消費者が直接交流することができるので、生産者が農産物についての情報や、生産の工程などを説明することができます。

消費者は、購入した農産物がどのように作られたのかを知ることができて、安心して食べることができます。

メーカーや飲食店の条件で栽培する「契約農家」

契約農家とは、食品メーカーや飲食店などの企業などが、自社の製品に使う農作物や食材を栽培するために、特定の農家と契約を結ぶことです。

契約農家は、生産者としての農家とは異なって、特定の企業との契約に基づいて、一定の栽培方法や品質基準に従って、作物を栽培することが要求されます。契約期間中は、収穫後の販売も契約によって規定されることになります。

契約農家は、企業との契約で一定の収入を得ることができますが、企業側は、一定の品質を保証された食材の確保や、生産者に直接、生産現場の改善や農家の支援をすることができます。

食材を農家から直接仕入れることは、飲食店だけでなく消費者にとっても利点が多いですが、デメリットもあります。

(1)メリット

・卸売業者を介さないのでコストを安くできる

・規格外の食材を安く仕入れることができる

・市場に出回らない希少な食材を仕入れることができる

・卸売業者を介さないので、飲食店に届くまでの時間を短縮できて、新鮮なうちに入手できる

・契約農家から直送であるとPRすることができて、メニューなどの付加価値を上げることができる

・生産工程や栽培者が分かっているので、安全な食材を入手できる

(2)デメリット

・適した食材を探すのに、多くの労力や時間がかかる

・契約によっては、天候不順などにより品質が下がっても、購入しなければならないことがある

・契約によっては、値段や量の変更、キャンセルなどができない場合がある

スーパーなどと直接契約する「直販」

スーパーマーケットの食品売り場に産地直送コーナーはよくありますが、その野菜は、生産者からスーパーまで、流通経路をほとんど介さないので、販売価格の約65%が生産者の手取りとなると言われています。

直販とは、生産者が消費者に直接商品を販売する販売形態のことを指します。スーパーや小売店などの間に仲介業者がいないため、生産者がより多くの利益を得られることが特徴です。

スーパーが商品を安価に仕入れることができるため、消費者へも安価な商品を提供することができます。

生産者が直接販売するので、商品の鮮度や品質について、細かく管理することができて、消費者にとっても、安心で健康的な商品の提供を受けることができます。

ただし、需要が予想以上に少なかった場合など、農家は余った商品を処理する必要があるため、販売リスクが生じます。

また、スーパーと直接契約を結ぶための交渉力やマーケティング力が必要となります。

個人直売所

個人直売所は、販売場所や販売物によっては、許可や届出が必要になります。

1.販売場所

個人直売所は、農場内や自宅の敷地内に設けられることが多いですが、自宅の敷地内であれば、許可や届出は必要ありません。

農場の場合であれば、台や棚、もしくは床にそのまま置いて販売する場合や屋根だけの簡易的な建物であれば、特に許可や届け出は必要ありませんが、例えば、道の駅のように店舗などの規模になると農地、農用地、農地法での扱いとして、市町村や農業委員会と相談したほうがよいでしょう。

2.関係法令

農地法第4条の農地転用において、農地に住宅や店舗などを建てたり、露天の駐車場などを建設したり、農地以外の農地地目に転用する場合は、知事の許可または、農業委員会への届出が必要となっています。

農地転用となるので、周辺の農地や農業用施設への被害がないことが最低条件となります。

農産物を販売するのに、食品表示法、食品表示基準、食品衛生法、JAS法、景品表示法、   計量法、健康増進法等に関係する場合があります。

景品表示法では、不当に顧客を誘引したり、消費者の自主的で合理的な選択を阻害するおそれがあることを禁止し、実際の商品の内容より著しく優良であると示すことなどの規制があります。

景表法では、優良誤認表示の例として、合理的根拠がないのに、ある農産物を摂取すれば、必ずある疾病を予防したり、回復するかのように表示する場合などです。

食品表示法においては、「食品」を加工食品、生鮮食品、添加物の3つに区分して、販売者を一般消費者向け食品関連事業者、事業者向け食品関連事業者、食品関連事業者以外の販売者の3つに区分しています。

生鮮食品を、一般消費者向けに食品関連事業者が販売するときは、同基準第三章「生鮮食品」の第一節「食品関連事業者に係る基準」として、第一款「一般用生鮮食品」の第18条~第23条に定める規制を遵守することになります。

市民菜園の場合、公的な市民農園であれば、農地の貸付は法律で、レクリエーションの目的のみに限定されています。

農業としての営利目的での貸し付けは禁止となっています。そのために、栽培した野菜の販売を禁止している農園もあるので、注意が必要です。

家庭菜園でつくった野菜を販売したい場合、自宅で育てた野菜を販売することは可能です。

ただし、無農薬や有機野菜と表記して、販売する場合は法的な規制があるので、そういった文言は、記載しないようにします。

このように農地に直売所をつくる場合、地方自治体の法律によって規制されることがあります。いろいろな法律が関係してくるのでまとめます。

(1) 建築基準法

建築物の法律ですが、建物の構造、耐震性、燃えにくさなどが関係してきます。建物を建てるのであれば、この法律に基づいて設計や施工する必要があります。

(2) 都市計画法

都市計画の規制の法律で、用途地域や建築物の高さ制限、道路の幅員などが定められています。同じく、建物を建てる場合、この法律に基づいて計画する必要があります。

(3) 食品衛生法

食品の衛生管理に関する法律で、食品の製造や販売についての基準が定められています。直売所で販売する場合、この法律に基づいて衛生管理を行わなければなりません。

(4) 農地法

農地の利用に関する法律で、農地の利用や転用についての基準が決められています。直売所を設置する場合、農地法に基づいて、農地の利用が可能かどうかを調べる必要があります。

具体的には、地方自治体の農政課、建設課に農業委員会に相談したほうがよいでしょう。